英国のサッカーチーム、マンチェスター・シティFCのオーナーでもあるUAE副大統領シェイク・マンスール・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤン殿下が、世界で最も歴史ある牧場のひとつを購入し、自身のサラブレッド生産事業を開始する意向を明らかにした。
フレネー・ル・ビュファール牧場は、1979年にスタヴロス・ニアルコス氏が購入するまで、60年間にわたり多大な影響力を誇ったオーナーブリーダーのマルセル・ブサック氏の拠点であった。
同牧場はこれまでに45頭の欧州クラシック優勝馬と7頭もの凱旋門賞優勝馬を輩出しており、今後は純血アラブ競馬において有力なマンスール殿下のワスバ種馬場事業の傘下に入ることになる。
殿下のフランスにおける純血アラブの事業は約900頭を擁する規模であり、繁殖牝馬、引退馬、ヤス・ホース・レーシング・マネジメント名義の現役馬、そして10頭の種牡馬がいる。
しかし、フレネー・ル・ビュファール牧場の購入はワスバにとって新たな章の始まりだ。いずれはサラブレッド種牡馬も繋養する意図のもと、厳選したサラブレッドの繁殖牝馬の買収計画が進行中である。3月1日より、フランスのクールモアの元代表者で、最近までアルカナのブラッドストック部門で働いていたマチュー・ルガル氏が、この牧場のディレクターに就任する。
昨年5月には、シャンティイ・ブラッドストック社のジェラール・ラリュー氏が殿下の競馬および生産事業のマネージャーに任命された。同氏は、仏競馬紙ジュー・ド・ギャロの独占インタビューで、フレネー・ル・ビュファール牧場の目標について次のように説明した。
「マンスール殿下はサラブレッドのプロジェクトを念頭に置いています。クールモア、カマス・パーク・スタッド、アルカナで長年の経験を持つマチュー・ルガル氏が採用されました。3月1日から彼は牧場のディレクターとなり、私たちは段階的に新たなサラブレッド生産を起ち上げていきます」
「極めて質の高い繁殖牝馬のラインナップを確立するという考えです。マチュー・ルガル氏は、新たなチームの結成も担当します。外部からも受け入れる予定です」
「いずれは、この牧場がかつてのサラブレッドの種馬場としての役割を果たせるようにしていく計画です。ニアルコス家のヌレイエフ(Nureyev)が繫養されていた場所であり、フランスでチャンピオンとなった種牡馬5頭もここにいました」。
殿下がどれほど大きな野望を持っているのか尋ねられたラリュー氏は「決定するのは殿下です。フレネー・ル・ビュファール牧場はマルセル・ブサック氏やニアルコス家と所縁のある伝説のような場所であることは事実です。非常に良く維持管理されており、土壌の分析結果も極めて良好です」と語った。
ワスバで10頭のアラブ馬の種牡馬を所有する一方で、馬主としてシェイク・マンスール氏はヤス・ホース・レーシング・マネジメントの名義で活動している。
赤と緑の市松模様の勝負服は、ラヒブ(Lahib、2008年)とムシュラエ(Mushrae、2013年)でカタール・アラビアン・ワールドカップを2度優勝している。また、ドバイワールドカップ開催日に行われるカヘイラクラシックでは、2023年のハイヤーン(Hayyan)による優勝を含め4勝を挙げている。
殿下によるサッカーへの投資は現代スポーツにおける主要ファクターとなっており、マンチェスター・シティは、ニューヨーク・シティFC、メルボルン・シティFC、横浜Fマリノスなど13のクラブを傘下に置く複合企業体シティフットボールグループの礎をなしている。
By Scott Burton
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[Racing Post 2025年2月17日
「Manchester City owner Sheikh Mansour sends signal of intent towards European racing after buying historic stud farm」]